2003/03 Diving Log

黒い波に揺れながら 03/04/01 (火)

ワタクシの中で完結しないナイトダイビングの思い出。
よくもまぁ、こんな怖がりの身で真夜中の海に潜ったものだとも思うのに、今度はもっとナイトを楽しめるようになれたらなーって思う。つまり、コワイコワイと言いながら、又機会があれば行こうと考えているのです。懲りないのです。

夜光虫を見た後、夜中の海やイキモノを観察しつつ岸に向かって行ったのですが、浅くなると浮くんですわ 人間て。
昼間なら浅場で浮力がつき浮き出すと、スーツのエアーを排気して浮上を免れるのですが、ナイトの夜 ワタクシは既にその元気がありませんでした。後で聞くとまだまだ深さのあった場所での浮上だったそうで、まーナンですが、兎に浮いたんですわ。
カラダが あぁ…と浮く気配がした後、引き寄せられるまま海面に浮上。情けないモンですが、初めての夜の海、もうワタクシはクタクタで、もう海面に出たいやーと ちょっと思っていたのですわ。
頭もココロもいっぱいで、言葉にならない体験を全身で感じながらも、タンクのでは無い空気をとても吸いたかった。

インストラクターさんが、一人一緒に浮上してくれ、「もう、このまま行きますか?結構ありますよ(岸まで)。」と言われ、ワタクシは「このまま行きます。」と返答。

波打つ真っ暗な海。
岸を見ると目指す岸に一つだけ灯る明かりが頼りなく小さく見える。
黒い波を蹴りながら泳ぎ、疲れると背で泳ぐ。
夜空を見上げ泳ぐと、青海島船越にどっと出ている星々が、こんなワタシを見ているよう。
海で見上げる星々に見据えられるワタシは、海にも空にも無にも敵わないのに、どうしてこんな事をしてるんでしょう。
空を見上げて泳ぎ、又 陸の位置を見ながら又泳ぐ。汐を少し飲み、星の顔を仰いで進んで波に揺られて。

海から出て、温かいシャワーを浴び、荷物を残した海の家に戻ると、海に潜る前に置いておいた物一切が全く何事も無かった様に机に置かれたままに其処にある。
ワタクシが今しがた海でエアーが突然抜け慌てた事も、ヤリイカの子達のイノチが生まれた事も、新しい卵を産んだイカの夫婦がいた事も、幻の様な夜光虫と遊んだ事もなにもかも、そう、陸では何事も無かった様に時間が流れていたのだと、当たり前の事にはっとするのでありました。

こうしてワタクシのナイトは終わりとなりました。
忘れられないだろう、ナイトダイビング52分間のお話はこれでひとまず終わりです。
感じた事、話したい事はありすぎるほどありますが。

 

ティンカーベル出現 03/03/30 (日)

光るイキモノを実際に目にした事がどれだけありますか?

ナイトダイブで打ち合わせ通り、一斉にライトを消し手を振ると、一面キラキラと輝く夜光虫。
光るイキモノは、記憶を巻き戻しても蛍以外にありません。
アンコウも光る、ホタルイカも光ると言われても、ワタクシは今まで生きてきて 実際に光るイキモノは他に目にした事がありませんでした。
蛍の光は何度見ても胸に沁む翠色で、それが哀れな程 無抵抗にまったりと飛ぶので余計に夏の情緒を感じる虫です。

その蛍以外に初めて目にする光るイキモノ 夜光虫。

海の中で動くと、それに反応して光るとの事で、しきりに手を振って光を見たのですが、其処は真夜中の海。
全員でライトを消し、漆
黒の中輝く夜光虫だけの海
綺麗で不思議で感動的で、
そしてとってもコワイ

後から聞くと、インストラクターの方が、ワタクシ達を楽しませようとして 夜光虫観察の際<ティンカーベル・ダッシュ>ってのをやってくれていたらしい。
あの漆黒の海で、ティンクの様に羽ばたきクルクル泳いでいたなんて、アタシは思いもつきませんでしたよ。
どうりで海がキラキラキラキラ輝いていた筈。
それにしても、インストラクターさんってのは、物凄いわーと思ったのですわ。

アタシ、もっとナイトダイブにゆとりが持てる様になったら、今度は その等身大(しかも♂)の海中ティンカーベルを夜光虫と伴に観察しようとココロに決めたのであります。

 

ヤリイカの夫婦というのも 初めて見た 03/03/29 (土)

エントリーから既にドキドキ状態だったワタクシは、恐らく昼間のダイブだったら気にもしなかった事が、物凄い大変な事が起った様に感じちゃったんだろうなぁと思います。
後になればそう思えても、夜中の海でいきなりボコボコボコボコと、一体何処から空気が抜けているのか解らない状態ってのは、初心者ダイバーのアタクシには恐怖そのもの。本来アタクシは小心者なのですわ。
どこかの接続部分が外れてる!←これしか思えなかったデス。

でも、ちゃーんと息出来るし、同行の人は変わった事無い様な顔してこっちを見てるし、説明したくても海の中で言葉は喋れないし、アタシ ワケワカンナイヨー。アタシ沸騰してない?泡立ってない?
夜中の海で慌てるワタクシ、インストラクターさんになだめられ、う〜〜ん;;;多分大丈夫なのだろう…と気をとり直してイカの卵揺れる岩棚へ向かう。

岩棚では見事ヤリイカのハッチアウト中!これは可愛い!
指程の太さのイカの卵がぶらぶらと簾の様に垂れ下がり波に揺れれている、その卵をじっと見ると、一本の房に無数の卵が並び、その一個の中にちゃんとイカの格好をした赤ちゃんが卵の中で動いている。そして産まれた赤ちゃんがピンピン。
イカだわ!確かにイカだわ!ちっちゃすぎるがイカだわよ!産まれたのね、
この子もこの子もこの子もこの子も…おやおや この子もこの子もこの子もこの子も…びょんびょんびょん…

所が、そのハッチアウトしてる最中の前の岩棚で、ヤリイカ夫婦が産卵してるではありませんか。
物凄すぎる 海の中。
アタクシはボコボコと戦いながら、イカの誕生と産卵シーンに遭遇し、寒い海で熱くなってゆくのでありました@更に続く。

 

 夜の海で サイダーになる 03/03/28 (金)

昼間の雨の匂い残る 青海島の夕方

日曜日、岩棚で揺れる乳白色のイカの卵とその中の無数の目が忘れられず、とうとう昨夜ナイトダイビングとなりました。
思うのです。子供の頃怖がりで電気のついてない部屋すら入れなかったワタクシが、夜の波音響く海へダイビングする日が来るなんで夢にも思わなかったと。

一体どうしたんでしょうね。

真っ暗になるのを待って、ダイバーとインストラクター合計4名はエントリー。
夜の海に立ち、真っ暗な中ライトを持って潜行。ただ、コワイの一言。
一つのライトで様子が解るのは、ほんの僅かな範囲だけだったと思います。ダイブして行くのには問題無いですが、夜道歩くのも街頭が無ければ懐中電灯で照らされる当りはほんの僅か。海もそう。そうなんだけど、海だと
夜道と違う怖さでコワイ

夕日を見送る 夏はこの夕日が入江の真中に沈むという

目的は勿論ヤリイカのハッチアウト。
あのイカの赤ちゃんが生まれ零れる所を是非是非見たい。この目と記憶におさめたい。

願いは新しいイノチ。怖がってるのはアタクシのイノチ。
闇を照らしダイバーは行く行く。生き生きとした瞬間を見るために。
闇を照らしダイバーは行く行く。高まる自分のイノチを海の中に入れて。
にわかに、ひょっこりひょうたん島を唄いたくなる。

何度も潜っている見なれた筈の海の景色は、全く昼間と違った世界に変わり、生き物の生活時間がバトンタッチされている。
静かなのか賑やかなのか、歩く手のひらサイズの鮑がビラビラ散歩するのを神妙に眺めたり、転がるナマコを見送りつつ進んで行く。

夕日が沈む ダイバーは暗くなるのを待つ

揺れるカジメ、揺れるアメフラシ、夜の海に人間が入っていいんだろうか?
アタシは進みながら、何か沢山の事を考えていたように思います。
昼間のダイブと全く違う夜の海。
揺れる前方のフィン、揺れるワタクシのフィン、深くなる程にワタクシのドキドキは高くなり、イカの卵がある岩棚辺りまで来たとき、ワタクシの首辺りからエアーが
一気にボコボコボコボコボコ!!!
と騒ぎ立ったのでありました。

真夜中頭がサイダー状態。

しょえーーーーーーーーーーーーーー!!!絶叫@しかし無言;;;初心者ダイバー38歳、真夜中の動転。
初めて、海底で自分の動悸をバクバク感じアタクシは目玉が飛び出そうになったのでありました。
スミマセン;;;アタクシ一瞬、どっかの接続部分が外れたのかと思ったのであります@話は続く…

 

イノチがどっさり 03/03/24 (月)

長崎ちゃんめんの具にイカを見付けたワタクシは、そう 数時間前海の岩の下にどっさりと揺れるヤリイカの卵を思い出したのでありました。
イカの卵って一ヶ所に物凄い量産みつけられるモノなのですねぇ。アタクシは初めて見ましたよ。
そりゃぁもう、ぶわぶわ!ゆらゆら!びっちり!
ヤリイカ、あんたその細身のカラダでよくもこんなに産んだわね…って感じ。いや、あれだけ一匹がせっせと産んだんじゃぁないでしょうけどね。イカがうじゃうじゃ集まって、「奥さん産んだらアタシの番よ♪」って感じでせっせと産んだんでしょうか?
岩の下にびっしりと産み付けられ、ユラユラ汐まかせに揺れる卵スダレ。そして揺れるその住人のイカのあかちゃんら。じっと見ると黒い点がある。この黒い点は目ではないか。揺れる卵にある無数の目。無数のイノチ。
なんだか途方もなくスゴイ。

手でそっと触ってみても、汐に揺れる卵の感触はなんだかよく解らない。
しかし、兎に角これは卵なのだ。イカの赤ん坊入り卵なのだ。

卵は既に夜度にハッチアウト(卵からかえる)してるそうで、一度で全部生まれ出ないんですって。
鳥の卵もそうですよね。成熟したヤツからかえる。イカもそうらしく、ここ一週間くらいかけて出てくるそうであります。

卵から生意気にもイカの姿であかちゃんが出るらしく、生まれ出ても暫くその周りにいたりして、むちゃくちゃ可愛いらしい。

そうらしい、そうらしいのよ。聞くところによると。
あー!そうらしいってんじゃなくて、そうなのだ!と言ってみたいものです。
このあかちゃんが産まれる瞬間、今週夜な夜な繰り返し見られるって事は、今夜も生まれているのねぇ。
とっても!見てみたい!

ワタクシ、かつて産婦人科に勤務していた事がありますが、産婦人科にいると 全く毎日誰かの誕生日なのだと実感します。毎日時間を問わず産まれるイノチ達。
人間もだけど、世の中の沢山のイノチも、毎日誕生日を繰り返しているんですねぇ。
昨日産まれたイカ、今日生まれたイカ、明日生まれるかもしれないイカ。なんだか楽し嬉し春の海。生き物の健康と季節を感じた昨日なのでありました。

 

 ウミウシのような 餃子を食べる 03/03/23 (日)

本日ベタ凪、ダイビング日和なり。
あぁ、やっと!願い叶って三月の海にこの身を沈めて参りました。アタシは非常に満足です。
ヘタクソダイバーでも、冬の匂いの残る海は只嬉しくて、ベテランダイバーに混じり 無言のおっとっと…を繰り返しながら海の中を飛んで来たのであります。

書くことは多いけど、一度で書けない充実度。
こんな凝縮された嬉しい日を持てるってのが、既にもう幸せだと思います。

ワタクシはね、初心者ダイバーだけど、嬉しくて充実してココロもお腹も頭も一杯。
そして、カラダは素直に疲れ果て、ダイビングから戻りヨロヨロです。体力の無いダイバーなのでありますわ。
嬉しくてヨロヨロ〜♪楽しくてヨロヨロ〜♪そんなカラダで向かうのは、赤いお屋根のリンガーハット長崎ちゃんめん。

運ばれて来た<ちゃんめんセット>に箸をつけると、そこには あぁ…

おまえは、おまえは イカではないか。そうかイカこんな所にあぁイカ イカ イカ…
あぁ、
おまえは海老。海老が 海老が 海老が 海老が…
そこの
かまぼこよ、おまえの本当の姿は 元は 元は…

そうかそうか、そうかそうか…そうかそうか、そうかそうか…

と思いつつ、ワタクシはイノチいっぱいの長崎ちゃんめんを意味深く頂いたのでありました。

 

せめて 花くれ 03/03/18 (火)

同僚は先日のホワイトデーでお洋服を買ってもらったそうです。
アタシが旦那から貰ったのは、
タネ
奥さん!タネですよ。タネ!許せますか?犯罪ですよね。聞いた事ありませんよね! 

柿の種でも許せないのに草のタネ。鳩が豆鉄砲くらったとはこの事で、タネと一緒に鉢も貰いアタシ愕然。
スズメだってタネ貰って喜びませんよ。

娘が哀れなアタシを慰めにやって来て、
「おかぁさん、一番何が欲しいの?」
 と、優しく聞くので、ワタクシはベットに蹲ったまま、つい普段欲しくてたまらないナニの名を呟いたのであります。

「おかぁさん、足ヒレ 欲しい♪はぁと」

娘爆笑!
「ヒレ〜〜ひれ〜〜〜〜ヒレ〜〜〜〜ぎゃ〜〜〜はははは!!」
こうして家族一同は、どうぞ遠慮なくフィン(足ヒレ)を買って、機嫌良く暮らしてくれとゆーてくれたのでありました。