春の海に初めて入った時、何よりも嬉しかったのはアメフラシの卵でした。
海ソウメンと言う言葉は知っていたけれど、ワタシのこの目で本物を見てしまった!そんな感じ。
海ソウメンというより、海ラーメン 海来来軒の方が的確だと強く思ったし、自分で見て知ると兎に角愛おしい。
物凄く人に自慢したかったのは、初ナイトダイビングで見たヤリイカのハッチアウトだけど、ウミウシの卵が花の様に巻かれているのも同じくらい驚いた。
”春の濁り”という言葉も、濃厚な濁りの中にある意味が解るから とても好き。
さて、ワタシは潜っても 今だどれがレアなのかよく解らない。
この青海島で珍しい生物に出会い喜ぶダイバーさんが、これがいた あれがいたと喜ぶのを見ると、見つけたモノの方より レア種だと解る知識の方に(実は) へーーーっ って思う。
ダイバーさんは大変海洋生物に詳しい。その図鑑的知識に毎度恐れ入ります。
特にですね、我がショップSのダイバーさんは 総じて生物に詳しいよーな印象を受ける。これはショップの方の海のイキモノに対する情熱がふかーいからだと思う。ダイビングが海への”冒険”という感じでは無く、海の生物への興味と愛情。
我がショップを知っている方なら これは頷く事だと思います。
そんなワタシもですね、潜らない人よりも、そりゃずっと海洋生物の名前を覚えるようになりましたよ。
でも、ワタシは生物の希少価値が今一つも二つも解らないから、個人的価値観で珍しくないものを喜んで満足してる。
だから、例えばこの春の濁り。
冬とは色を変え、その中に濁りを抱く春の海。 庭も川土手も土という土がイノチを芽吹き どっと茂る春と同じだと、つまりそーゆー事にワタクシは響いている。
春になれば、庭の草は抜いても抜いても次々生えるし、植えた草花は雨の度に色を濃くして花をつける。
海もこれと同じだ。庭の草引きに追われる主婦に理解しやすい。
庭が藪になるのはキライだが、兎も角イキモノはいいものだ。春にラッパを吹きたくなる。
実際には レギュレータから泡をぶくぶく吐いて眺めてるだけだけど。
ヤリイカの卵は全て生まれ 今頃何処を泳いでいるんだろ。
空になった卵の房は変色し、うねりのままに揺れている。
ホラガイの卵は、葉っぱの裏側なんかに生みつけられた きちょくわるぃ虫の卵みたいだ。
ウミウシの卵は、花の様に丸く描かれる。 あの小さいカラダの中から、どうしてこれだけの卵の花が描かれるのだろう。
そう、水面移動でも。
見下ろす海は深く濁り、いきなり宇宙的なイキモノがわんさか見られる。
つまり クラゲ。 刺されたら痛いぞ、痒いぞ、暫く辛いぞと思うから ワタシの頭の中でクラゲは海の蜂だと思っている。
Blue Bee。
Blue Beeが これでもか これでもかと浮遊し、更に濁るその中の芽吹いたイノチ。
春の海は、春の野原と同じで賑やか。 ダイバーの目には見えない 無数のイノチがこれから大人のイキモノになっていくんだろーな。
新緑や花々が好い様に、春の海はとても好き。
アタシの背中をどつく うねりと、波さえ無かったら。 |