満月大潮の青海島の午後、白く煙る中 目指すはトンネル方向。
岩の間のウニが靄に霞む。その瞬間はよく解らないけど、状態から想像するに放精中なんだろう(写真7/23)。
ヒトデは くわっつ!と腹を浮かせ足を爪先立ちにして放精すると聞き、是非この目に映してみたい!と常々思っておりました がー、、、この日ワタクシの前に登場した放精中のヒトデは、いきなり遭遇すると恐らく大半の人間がぬぉ!っと引き下がるキショイやつ。
その名もクモヒトデ。このクモヒトデには思い出があって、小さい頃海の岩を動かした時、こいつがにゅる〜っと出てきた(?)事がある。大声で叫びたい気分だったけど、人間 ショックを受けたとき案外黙っているものだ。
青い青い海が広がる真夏の空の下、幼いワタクシは背筋が凍りつき、海とはなんと凄いのだ…と強く思った。 家に戻ってからも、海で見たそら怖ろしい何者か解らないイキモノの事は、とうとう親にも話せなかった。
怖かった…。
が、ワタシは大人になった。アタシをビビラせたあいつはクモヒトデだったと知った。
正体が解ると恐怖は消えるものだ。 それにしてもクモヒトデは活発によく動く。目立って動かないヒトデの仲間にしてはえらく忙しい(仲間よね?)。
いや、普段はそう動かないのかもしれない(ヒトデには詳しくない)。兎に角この日、クモヒトデは勝負する日だったようで、手足をぐりょぐりょ絡ませあい、逃げたり縺れたり 三途の川の小石のように重なったり。
こうしてあっちに こっちに クモヒトデ饅頭が出来上がり、こりゃちょっと凄い。
でー、頑張った饅頭の隙間から やっぱり放精が広がってゆく。
写真でお解かり頂けるでしょうか。重なった二匹の間から、白い煙のように靄が出ているのがそれです。
ウニは靄の中、向こうではナマコが立ち上がり、そしてこっちではクモヒトデ大集合。うねうね踊り夏祭り。
ワタシが特殊なのでは無いと思う(思いたい)。みんなに健やかさと目出度さを感じるぞ。
アタシは白濁りの海で、満月大潮ばんざーーーい♪とカメラを握り締め 命を繋ぐイキモノの晴れ姿に出遭えた事に大感激し、そりゃもう夢中だった。
珊瑚の産卵や海亀の産卵ばっかりが、海のイキモノのドラマでは無い筈だわ。
イノチの神秘はどのイキモノにもあるものだ。 濃厚な命のスープが、こうしてまた意味を持つんだぞと、きしょいヒトデをバシバシ激写し、手を滑らせてカメラを海草の森に落とす天才のワタクシは、絶対に絶対にこの大切な画像を陸に持って帰るんだ!と握り締めたのでした。
…明日に 続く(しつこいよ笑) |