2006/01 Diving Log 

水の なか 06/01/14 (土)

湯上りです。
ほかほかです。

長いこと浸かってましたからね。

正確には潜ってましたからね。

仰向けに沈んで見る水面。
じぃーーっと息を堪え、いるのは風呂。
思うココロは海の底。
この凍てつく海の底で、クサウオの卵から子供が飛び出たり 卵の上に乗っかって愛想を振りまいたり、はたまた甲イカの親が卵を産みつつ砂をまぶし、我が子隠匿工作をしてみたりしてたんですってね。
きーーー 見たかった!
イキモノは真冬でも熱いのね。。

風呂の底から海を思う。
もっともっと ワタシが思う侭に潜れたら、もぉおっと沢山のものをみてやるのに。

ダルマオコゼ これは12月29日撮影したものです

風呂の底で息をぽこぽこ吐いてみたりする。

先日、途中で浮上したことを思い出したりする。

ワタシの吐いた泡の音がいっぱに広がったかと思うと 頭が海面に出ていた。
ワタシは紫津浦の真ん中に浮かんでいた。
真冬の黒々とした内海の海面は、油の様にゆるく揺れていた。

こんな色も失った冬の海のその奥は、なんて豊かなのだ。見た目では知り得ない事なのだ。顔を漬けて海底を覗いたけど、透明度は(大抵)悪いから勿論何も見えず、そこに漠々とした水の塊があるだけだった。

カラスキセワタガイ

一人でぽっこり浮かんだ海。
何度潜っても また戻りたくなるのはなんでだろう。
見たいものも 山盛りあるし、ワタシは欲張りだからその沢山に出会いたい。
ってな事で、予定より早く次の潜水が出来ないかなぁと 胸の奥で企んでいるこの頃です。

(これはLogというより 日記だったかもしれない…。)

 

みんな イキモノ 06/01/09 (月)

紫津浦ミジン

夜な夜な クサウオの卵ばっかり自宅のPCで眺め暮らしておりますと、うちの娘が肩越しに

しょくわるぅうぅいぃーー!

と、叫ぶです。この前まで姿もカタチも無かった、娘が、そう言うですよ 奥さん。
どー思います?

この度、うちの息子は成人式を迎えました。
オノレの成人式の事を鮮明に覚えておりますが、いや それよりも それから僅か一年足らずでアタシから生まれ出でた君を、アタシは忘れることは出来ません。なんと 大人になったのね こりゃびっくり。生物の命が紡がれ繰り返すことを 身を裂いて知った芯は、アタシがなんぼ阿呆でもだぁれも変える事はできないのです。

君、おめでとう。
そして、ワタシ おめでとう。

アタシは こんなで つまらなくて ほんとうにそう思えて腐りそうだけど、でも とても女でよかった。知ることが出来てよかった。
おめでとう。

さて、萩の見島のそのまだまだ向こうに、ぐっと深い海溝があるのですね。
この度、萩博物館に行きまして、展示室にある海の模型を眺めながら思ったです。
ワタシがこの冬注目しているクサウオは、この深海からやって来たんですよね…って。

ムラサキハナギンチャク 紫津浦には沢山揺れています

生物の生きようとする姿。そのイノチを繋ごうをする姿。ダイビングという なんとな〜くおかねもちぃ〜で、なんとのな〜く トロピカルぅ〜な遊びとは裏腹に、アタシは身近なる海で生きていこうとしているイキモノに強い魅力を感じ、地味ぃな潜水を繰り返しているの。隣近所のオバサンと井戸端会議をばら撒くよりも、アタシがどう生きてゆきたいのかとか、それぞれのイキモノの強く健康な指の先を 海の中で探しているからです。

イキモノ 繋がる命 おめでとう。

クサウオの卵、今はどうしてるのかな。

 

 そして やっぱり 魚の声 06/01/06 (金)

卵塊の上に乗る巻貝 お菓子の家をみつけたようなものではないでしょうか

ひそかに気になるのは クサウオの横顔にある突起物… 人間で言えば耳の位置…あの丸いものはなに??

余談ですが、ワタシが高校生だった頃 うちのオカンが言いました。
「今日ね、魚がこれでもかと口を張っている絵を観て来た。題名は”声”だった。」
口はあれども声を出せない どんなに叫びたくてもその声は出ないという、印象的な絵だったとアタシに熱く語るので、今になっても覚えています。残念な事にワタシ自身その絵をちっとも観ていないのですが、多感な頃 そんな絵が 何処かにあるのだというだけで衝撃だったですね。
で、今でもその観たことのない絵の事を、脳裏から剥ぎ取れずにおるのです。

所が…実は実は 魚のヤツは魚語できちんと声を発している。

これは 驚きました。

魚の声の驚き 第二弾でした。

メスがオスになったり、その逆だったり、口いっぱいに卵を突っ込んで絶食したり、死ぬまでオノレの卵を守り朽ち果て死んでみたり、言葉も話せずにお前等哀れよのぉ〜 と、思うのは うーむ人間の浅はかさ。
オレ達、不自由してはおらんのよ。アンタ等が知らんだけなんよ。
ましてや不幸でもないけんね なーんて それが正解なのかも。

兎に角 クサウオの限らず どうやら魚はモノによって声をきちんと出すらしい。クサウオの場合、どのタイミングで声を出すか 一度聞いただけではよく解りませんが、単に威嚇突進する場合は無言でした。
ワタシが、こいつ声を出してる!と思ったのは、ワタシが威嚇するクサウオを無視し 卵に近寄り撮影した時です。卵にぐいとカメラを向けた私の顔にクサウオも顔を突き付け、キューキューキューと何度も何度も鳴きました。

クサウオの声は、若しかしたらクサウオの卵をマクロ撮影しようと狙ったダイバーだけが聞いているのかもしれませんね。
ホントの事はわかんないけど。

…でぇ〜 まだ続く…

 

卵の め 06/01/05 (木)

▲年末 こんなに育っていた卵は…12/29 これは Adachi様 撮影

▲元旦辺り生まれたらしい 1/4撮影

 

年末、クサウオの卵塊は、魚網に絡まる様に3つありました。
それぞれ別の日に産み付けられたらしく、それぞれ成長の度合いが違います。潜り納めの時から、6日経ったこの間 きちんとそれぞれ成長してました。

カラダのどの部分も大切だけど、そのパーツの一つに、ぱちくりとした目々を子供達が持つようになると、おお おまえら頑張れよ!と思いますねぇ。

目が出来ると、”ただの卵と思うなよ”な雰囲気になると思いませんか。
俺等 みーんなそれぞれひとつひとつ、きちんと一匹なんだからねって感じ。

さて、今回 ワタクシは狙って潜りました。普段よたよたと潜り 運よければ、その潜水した結果として面白い生物のシーンが撮れたりするんですけども、年末クサウオの”声”に驚いたワタクシは、その声を録音しちゃおう♪と、それはそれは狙っておりました。
前回あれだけ耳元で鳴いたのだから、今回もきっと”キューキューキュー”と鳴いてくれるだろう。
むひひ 今回、楽勝♪
なーんて 思ってました。

が、結果としてはスカ

クサウオは時折ボサーっとしているし、新しい卵塊とニューフェイス・クサウオも見つけたんですけどね、これがまたえらい無口。威嚇はしてきますが、アクションは前回のヤツ達とはまた芸風が違います。

▲魚の姿の無かった卵は 12/29

▲体も目も出来ました 1/4

▼少し目が出来ていたものも12/29

▼6日ぶんの成長が見られます1/4

クサウオにも性格の違いがあるよーです@多分…
でぇ、もたもたしているうちに海底20mに居る事が出来る限界時間となり、ションボリとその場を離れたのであります。

…で、続くわよっ!