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ずっとやってみたいと思っていた事が たくさんある。
海をなめんなよ と、正座三時間の罰が下りそうで ずっと言えなかったのだ。そーしてこの日、二本目エントリー後 殆ど写真も撮らず遊びまくりました。
遊ぶということをバカにするでない。
遊ぶことは 大切なのだ。
大人も子供も遊ばなくてはつまらない。遊ぶことは 学ぶことだ。私はどんな風になるのか知りたいのだ。 |
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ビビリダイバーはやってみた。
まず、寝転がって海面を仰ぐ。 呼吸に抵抗がかかるので、苦しいが大丈夫だ。ビビリには気分的に不安だが、海面は美しい。
美しすぎて眩しくて、ずっと眺めるのに目が痛い。
それから足ヒレを外す。
ワタシがダイビングを始めた頃、某ダイビング雑誌に載っていたのは、この足ヒレを手にはめると、月面遊びが出来るってな記事だった。おぉ!そんな面白い事は是非ともやりたい! |
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足ヒレを外すと起立しずらい。重力が浮遊感と手を繋いでいる。
ふらつきながらヒレを手にはめる。 想像では、これでワタシは砂地の鳥ちゃんになれるのだ。
ぱたぱたしてみる。
…………あまり面白くない。
羽ばたくヒレに、抵抗がかかり飛べないのだ。
がっかり。ダイビング雑誌の嘘つきめ。 |
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なんでもこんな風に、自分でやってみないと解らないもんだ。鳥の羽は一枚板じゃないから、一つ一つの羽やなんやらに、空気の抵抗を交す工夫が凝らされているのだろう。ただ、足ヒレを手にはめて動かしてみても、よろよろするだけでなんにもならん。
月面遊びにヒレは要らない。
ヒレを外したまま、歩くと無重力感を味わえる。
無闇に足を動かしても無駄な世界だ。慌ててはならん。砂地を蹴って、着底するまで”待つ”のが歩くコツ。
ガイドさんの意見では、後ろ向き歩きが案外早いとのこと。ガイドさんは後ろ向きで すたすたと歩き去って行った。
置いて行くな コラ〜! |
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足ヒレが外れるのは、長いこと不安だった。
泳げなくなるだろうし、仲間から置いていかれる。
で、敢えてやってみて、どんな具合なのか。うむ、ちゃんと歩ける。ほぉほぉ…波やうねりのある海なら、暢気に散歩は出来ないだろうが、凪なら宇宙飛行士みたいに上下左右転がされまくり…には、ならんのだ。
今更知ったの?と言われそうですけどね、だってやった事なかったんだもん。体験しないと解らない。話しでは、ヒレ無くて歩いたと聞いた事はあるよ。でも、聞いて知ったことと 自分が実際に体感したことってさ、何についても事の重みが全く違う。 |
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ヒレを外して砂地を抜ける。
おぉ若しかして、正しくこれは 誠に正しい海中散歩。
夏の海の森の中を 歩くよ歩く、青い散歩はなんだか不思議。我が家の犬も、参加させてやりたい気分だ。
そのうち崖に辿り着いた。
邪魔なものを地面に置いて、垂直の崖をよじ登ってみた。 |
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お前はウニだ。 お前はホヤ。
手を掛ける崖の造作物を確かめつつ登ってゆく。
掴んだものがいきなり割れて、転落してみたりもする。
崖の上で先に登りついたガイドが叫ぶ。
「ファイトー いっぱぁあ〜つ!」
頂上に立つと結構高いので、今度はそこから飛び降りる。
飛び降り自殺のコマ送りバージョンだが、この場合 途中で耳ヌキが必要になってくる。
投身するとこんなんだ へぇ〜 へぇ〜〜 …… もう一回♪
また登って落ちてみた。ヒレをつけてないから猿のよーに遊べる。 |
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歩いていた途中のことだ。
急に薄暗くなった と、思ったら 光を覆うキビナゴの群れ。
美しい海面を、立ち竦んで仰ぎ見る。
魚の群れというものは、何度見ても息をのむ。
それは 海の中に魚の風が吹く姿だ。 動き、光を受けて輝く風だ。
私のいう事を嘘臭いと思うなら、海の底で見てみるといい。
例え方は違っても、億万のイキモノが泳ぎぬける姿に、胸を打たれない人はいないだろう。 |
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こうして海を どんどん行進。
エッツの絵本 もりのなかみたいだ。
砂地から林、崖から岩場、そしてまた森を潜って砂地に戻ると、もう終わりのようでつまらなくなった。
名残惜しくて 砂地で転げまわって遊んだ。
後ろまわりも 前まわりも、海の砂地だといくらでも出来る。
須佐の砂場は明るく白く、光の網目が笑って揺れる。
本当にもう帰らなくちゃ。たくさん遊んでくれてありがとう。
こうして二本目、82分 本物の海中散歩が終わりました。
……でもね、DivingLog
は、まだまだ終わらない。 |
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