2006/08 Diving Log

海から 感じる 06/08/16 (水)

森の中

海は景色そのものがイノチである。
この揺れる海藻の景色は、恐らく南に向うと珊瑚やイソギンチャクに変わるのだろう。
その土地それぞれを抱く海、そしてここは豊かな山口山陰の海。これは強く誇れる海だ。

いきなり浅い岩場 どうしてここに こんなにホシギンポが??

この日の潜水が近付いた日、ガイドさんが電話で言いました。
桜島の軽石を持って来るんでしょう?
その時物々交換しよう と。

 

 

 

ダイビングというものの世界に足を踏み入れて以来、その中で自分が感じた事柄に共感してくれる人がいるのだろうか、南の海や 稀少な生物のコレクション話が広がるこの世界で、ワレカラやナマコや、そして春が迎える赤潮に 海の呼吸を感じるワタシの気持ちを嗅ぎ取ってくれる人が さて、どれだけいるのか。

いなくてもいいが いて欲しい。
ダイビングは一人では出来ないものだ。

春、夏と向った鹿児島。鹿児島なんて、なんてマイナーが所に潜りに行くんだ?と言われたりもした。確かにそうだろう。
それも、坊津や屋久島等ではなく、なんで錦江湾なんだ?と。

暮らしている傍の海が好きだ。
そして、見たことも無かった 生きた山が立ち上がる錦江湾の足元を見たかった。

ダイビングの日、須佐でワタシを待っていたのは軽石。それは先日、須佐の海岸でガイドさんが見つけたものだという。
渡された石は この7月、桜島が錦江湾に吐き出した軽石そのものだった。名札が付いている訳ではないが、こんなもの 他の何処から生まれ漂ってくるものか。
間違いなく桜島の軽石だ。対馬海流に乗って山口県萩市須佐の海岸に流れ着いたのだ。

それを拾い、ワタシに見せようとしてくれたガイドさんの気持ちが とても嬉しかった。

桜島に限らず、海で拾う石は面白い

色彩変異だそうで

海から感じる事は、全く人それぞれだと思う。ダイビングは一人では出来ない。
大勢潜る時もある。それは個性を潰すが仕方がない(私だって待っていたのだ!)。
その中で視線を知り、理解してくれることは海の中で掴む強いロープの様なものだ。

 

特別な事をしようと企んでいるのでは無い。
ただ、大好きなだけ。海の中の力と、そこに生きるイキモノ等を見ていたい。

軽石が海岸にあって、だから何?と思う人と、背景がその胸に見える人。

ひとつのイキモノに出逢い、見た見たとコレクションするのでは無く、その姿から何か見えたりしませんか。
誰かに誇示するのでは無く、その胸に熱く思うものがありませんか。

須佐深まてかた エントリ0-する砂地はとても白い

 

おや! アタシは帰省を迎える立場 06/08/13 (日)

卵を守るホシギンポ 卵の中には子供の目が見える

お盆を迎え、ワタクシから産まれた二人が家に戻って来ました。
家族が揃う姿があまりにも自然で、私達がそれぞれ離れて暮らしているなんてホントかいなと思うよーです。
家の中に子供等が笑う声がするのはエエもんですね。

我が家の子はすっかり大きくなりました。
一人はまだ学生なんで、完全に手が離れたワケではありませんが、この手を離すのが惜しい気持ちもあります。子供を育てながら暮らしている間とは、とてもいい時期だったのかもしれんですね。
時に無茶苦茶なトンネルも潜らなくてはならんのが子育てで、育児上手じゃありませんし、実家も離れてたから、病気になっても手伝いなぞ誰一人おりませんでしたからね、当時はただ必死で”これがいい時期よ”って、まさか思いはしませんでした。でも、きっとそうなんです。

須佐の砂地はとても白い そこをまったりと歩くシロウミウシを見つけた

ミノカサゴの捕食する姿 真直ぐ下を向くのです

ワタシが海に入り、何よりも惹かれたイキモノの姿は、同じイキモノとしての姿でした。
ワタシはイキモノについて詳しい事は 何一つありません。
ついこの間、ふとした拍子 海にお邪魔するようになった、ただそれだけのオバサンです。
誰もがそうであるように、ワタシにもたくさんの悩みというものが、いつも形を変え貼り付いています。。
それを、生きることを何よりも目的とし存在する生物の中にも見るようであり、又 教えられるようであり、更にその解決の多様性に驚き、只々感心したのです。
ワタシが青い海に憧れるよりも、生活の傍の海に惹かれるのは そういう事からだと思います。

それぞれ悩ましいものと一緒に生き生きと生きている。

すっかり姿だけは大きくなった二人の子供。
他人から見れば大人でも、君らはなんて危なっかしい。頑張れよ。君らが辛いとワタシはとても辛い。ホシギンポのよーに君らの前に立ちはだかり守ってやりたくなる。しかし、それが出来ない。
すっかり大きくなった君らを眺め、幼かった頃を思い出す。
守ってやれていた間は、寧ろ今より心が軽かったよと、胸の中で思ってしまう。

 

青い おさんぽ 06/08/12 (土)

ひゃぁ〜 こりゃ眩しい!

ずっとやってみたいと思っていた事が たくさんある。

海をなめんなよ と、正座三時間の罰が下りそうで ずっと言えなかったのだ。そーしてこの日、二本目エントリー後 殆ど写真も撮らず遊びまくりました。

遊ぶということをバカにするでない。

遊ぶことは 大切なのだ。
大人も子供も遊ばなくてはつまらない。遊ぶことは 学ぶことだ。私はどんな風になるのか知りたいのだ。

ビビリダイバーはやってみた。
まず、寝転がって海面を仰ぐ。
呼吸に抵抗がかかるので、苦しいが大丈夫だ。ビビリには気分的に不安だが、海面は美しい。
美しすぎて眩しくて、ずっと眺めるのに目が痛い。

それから足ヒレを外す。

ワタシがダイビングを始めた頃、某ダイビング雑誌に載っていたのは、この足ヒレを手にはめると、月面遊びが出来るってな記事だった。おぉ!そんな面白い事は是非ともやりたい!

不安定なので ドジョウ掬いの様な腰つきになる

飛ぶぞっ! ←気分は……

足ヒレを外すと起立しずらい。重力が浮遊感と手を繋いでいる。
ふらつきながらヒレを手にはめる。
想像では、これでワタシは砂地の鳥ちゃんになれるのだ。

ぱたぱたしてみる。

…………あまり面白くない。

羽ばたくヒレに、抵抗がかかり飛べないのだ。 
がっかり。ダイビング雑誌の嘘つきめ。

なんでもこんな風に、自分でやってみないと解らないもんだ。鳥の羽は一枚板じゃないから、一つ一つの羽やなんやらに、空気の抵抗を交す工夫が凝らされているのだろう。ただ、足ヒレを手にはめて動かしてみても、よろよろするだけでなんにもならん。

月面遊びにヒレは要らない。
ヒレを外したまま、歩くと無重力感を味わえる。
無闇に足を動かしても無駄な世界だ。慌ててはならん。砂地を蹴って、着底するまで”待つ”のが歩くコツ。
ガイドさんの意見では、後ろ向き歩きが案外早いとのこと。ガイドさんは後ろ向きで すたすたと歩き去って行った。
置いて行くな コラ〜!

飛べない…… あれぇ〜〜〜

歩く ガイド

足ヒレが外れるのは、長いこと不安だった。
泳げなくなるだろうし、仲間から置いていかれる。

で、敢えてやってみて、どんな具合なのか。うむ、ちゃんと歩ける。ほぉほぉ…波やうねりのある海なら、暢気に散歩は出来ないだろうが、凪なら宇宙飛行士みたいに上下左右転がされまくり…には、ならんのだ。

今更知ったの?と言われそうですけどね、だってやった事なかったんだもん。体験しないと解らない。話しでは、ヒレ無くて歩いたと聞いた事はあるよ。でも、聞いて知ったことと 自分が実際に体感したことってさ、何についても事の重みが全く違う。

ヒレを外して砂地を抜ける。
おぉ若しかして、正しくこれは 誠に正しい海中散歩。
夏の海の森の中を 歩くよ歩く、青い散歩はなんだか不思議。我が家の犬も、参加させてやりたい気分だ。

そのうち崖に辿り着いた。
邪魔なものを地面に置いて、垂直の崖をよじ登ってみた。

思った以上に歩けるもんだ

お前はウニだ。
お前はホヤ。

手を掛ける崖の造作物を確かめつつ登ってゆく。
掴んだものがいきなり割れて、転落してみたりもする。
崖の上で先に登りついたガイドが叫ぶ。

「ファイトー いっぱぁあ〜つ!」

頂上に立つと結構高いので、今度はそこから飛び降りる。
飛び降り自殺のコマ送りバージョンだが、この場合 途中で耳ヌキが必要になってくる。
投身するとこんなんだ へぇ〜 へぇ〜〜 …… もう一回♪
また登って落ちてみた。ヒレをつけてないから猿のよーに遊べる。

歩いていた途中のことだ。

急に薄暗くなった と、思ったら 光を覆うキビナゴの群れ。

美しい海面を、立ち竦んで仰ぎ見る。

魚の群れというものは、何度見ても息をのむ。
それは 海の中に魚の風が吹く姿だ。
動き、光を受けて輝く風だ。

私のいう事を嘘臭いと思うなら、海の底で見てみるといい。
例え方は違っても、億万のイキモノが泳ぎぬける姿に、胸を打たれない人はいないだろう。

高濃度の群れだった

ダイビングって なぁ〜に〜……

こうして海を どんどん行進。

エッツの絵本 もりのなかみたいだ。

砂地から林、崖から岩場、そしてまた森を潜って砂地に戻ると、もう終わりのようでつまらなくなった。
名残惜しくて 砂地で転げまわって遊んだ。

後ろまわりも 前まわりも、海の砂地だといくらでも出来る。

須佐の砂場は明るく白く、光の網目が笑って揺れる。
本当にもう帰らなくちゃ。たくさん遊んでくれてありがとう。
こうして二本目、82分 本物の海中散歩が終わりました。

……でもね、DivingLog は、まだまだ終わらない。 

 

卵のこどもたちは ずっと見ていた 06/08/11 (金)

岩の割れ間には キラキラと光る卵がいっぱい!!

見たことあるヤツだと思ったら、勘違いだった。 

あれは青海島の洞窟入り口、向って右で 見上げたところ。
潜るだけで精一杯のワタシが、頑張ってカメラを構え、岩の割れ目から覗くムーミン面の魚と卵を撮って大ヨロコビした事がある。あれはイソギンポだ。これは似ているけど全く別のホシギンポ。卵を守る姿なぞとても似ている。それにしてもなんでかね、タンクが海面から本気で顔を出すよーな浅い岩場で うじゃうじゃ生活している。ここは一等地。日当たり良好、間取り文句なし、ご近所さんとのお付き合いもバッチリよ なんて風で。


お前の欲しいのは大きいホシギンポかね、小さいホシギンポかね。

須佐の海はワタシを試すよーにホシギンポを並べてくれる。
こんなにいるとよく解るが、ホシギンポ等はそれぞれ皆 ビミョーに色合いが違う。成る程、魚にも面の違いがあるのだ。

岩の割れ目で上目遣いしてるヤツ等は 卵を守っている。
さんさんと光が注ぐこの岩場では、卵がどれ程あるのか誠によく見える、下膨れのホシギンポも じろじろじろと見放題だ。ふむ、、、面も長いが胴も長く、鼻毛は両方伸び放題だね。

いや、それよりも、、、
アタシのタンクが海の何処にあるのかよく解る……筈だよ。
タンクは完全に海面に出ている。
アタシは岩場の亀?

マスククリアしようとしたら頭が出た。話しも出来るし便利だな。
でも、三軒先のホシギンポを撮ろうとすると沈まなくてはならん。タンクは一応、、、要るのだ。
海に ぽつーーーーーん……と浮かぶ二つのタンク。
確認なんだけど、これってダイビングなんよねぇ…。

近寄っても平気にしてる ホシギンポって人見知りしないんだねぇ

海の中の突然の浅場は、のどかな のどかなホシギンポ村。
むちゃくちゃ環境好いのだが、問題は浅すぎて カメラ持ったままカラダが揺れまくること。
写真撮れないじゃ〜ん と、思ったら ???急にカラダが安定しました……はて?

岩の上に オバサン一匹。
その背中には タンクが一つ。
更にタンクの上には ガイドさん。

 

 

ノッてるか〜ぃ♪

 

ノッてるよ〜♪

 

 

ホシのママは言いました。

卵の中の子供たち、黒く育ったその目で見てごらん。
ほら、これがダイバーってイキモノでね、おかあさんも おとうさんも ダイバーが何をしてるのか、それがさっぱり解らないの。
お外の世界にはね、こんな風に不思議なイキモノが、たくさん たくさんいるから気をつけなさい。
よーく 覚えておくのよ子供たち。

そこで卵の中の子供たちは、まぁるい目をして一斉に うんうん と、頷きましたとさ。

……続く。

 

なつの 深 蟶 潟 ふかまてかた  06/08/10 (木)

ミノカサゴも 夏を見上げる

タンク二本使って合計180分。
ワタクシが今日、海の底で何をしたか。

何時になく(遊びごとで)忙しい夏を過ごしていますが、まだまだ動きが足らぬ もっと遊ばなくちゃ!と、、、
まぁ そんなことで。

今夜はとってもよく眠れそうで楽しみだわ。
海の底に沈むよーに 今度は眠りの中でたっぷり遊ぼう。まだ夜は長い。
ああ、楽しいって いいな♪

……さー 続くっ!(今夜はとりあえず寝るっ!)