2009/05 Diving log

やわらかな保護09/05/28 (木)

子持ちエビは 柔かな卵膜を親の身体と知恵で保護

この粘液製の膜が技なんだろうなあ 波で揺れまくるから危なっかしいけど、しなやかで強いんだろうなあ そして相当喰えないんだろうなああ@想像

 繋がりはないんですが…卵抱中だったエビ 

 ゴカイの卵と思っているヤツ 波まかせに揺れる 

 夜勤明けの脳味噌は、正に右上、ぼよんぼよん。故に賢いことは書けません いつもだけど。

 卵を守るもの、それは鶏卵のよーに堅いものの場合もありながら、容易に思い出される諸々の生物の”柔かな保護”。どっちが結局安全なのかわかりませんが、大切なものは金庫への発想がある人間として、砂地に放置した軟体物がわが子というのは、なんと勇気のある産み方なんだろうと思います。

 でも、海って柔かな命って物凄くあるんですよねえ。この卵塊に見られる様な柔かな保護具合も、不味くて食べられないからだけじゃなく、若しかしてその他の生物の命に繋がる神の狙いがあるのでは と、思う程です。更にカラスキセワタガイの場合、卵を粘液製と思われる軟体物で保護していても、砂で濃厚に隠しているのは親本人の身体の方なんですよね。卵より産卵途中の親の方が危険なんでしょうかね?それとも、自分が着ていた砂袋を産卵後、くるっと反転。わが子たちを包んで完成……とか、なんか芸のオチがあるのでしょうか?(想像できないけどさ)
 カラスキセワタガイがうようよ歩き回る季節、あのような卵塊を見つけたら、最終的にどんな状態で完結しているのか、改めて見てみようとおもうております。

 

粘液製のゆりかご 09/05/26 (火)

楕円形の卵の粒 産卵が止まらない

 砂地に、潰れた気球のよーな軟体物が揺れていることがよくあります。長い事、一体なんなのだろうかと興味津々で、近寄ったり離れたり、揉んだり擦ったりしていましたが、ある時それはゴカイの卵塊だと知りました。砂地に接着されたまま放置可能というのは、なかなかの技に思えます。想像するに、砂地から産卵する場所(多分身体の先端)を出し、粘液放出しながら巧い事卵と織り交ぜ軟体物化し、そのままずるずるりと母体は砂地へフェードアウト。まるで植物の根の様に軟体物卵の先端は砂地に埋め込まれ、海が揺れても抜け流される事なく、なんだか暢気な卵塊風に出来上がるのではないでしょうか@想像。

砂袋部分と 粘液卵袋部分がある

粘液袋の粘液部分に卵?

 そして、このカラスキセワタガイの産卵。今までのウミウシの産卵イメージと少々違います。産卵行動の一部始終を見てみたい気がしますが、ゴカイ同様わたくし的に想像させて頂くと、産気付いたカラスはオノレの身体から分泌される粘液を砂に巻き込みつつ、砂地へ潜り潜ってゆく。で、お尻先端を残したまま今度は粘液袋を作りながら蚕の如くひゅるひゅると卵を産み続ける。粘液袋の中は見事なカラス卵の毛糸玉(中心空洞)が出来上がってゆく……。どうでしょう?この想像@見たまま。

 最後はお尻から後退し巾着搾り仕立てにするのか、砂地に埋め込む為に潜るのか、そのまま大雑把に放置するのかと、大変興味のあるところです。しかし、結局カラスキセワタガイは産卵しながら逃げ出すに至り、最後の工程を見届ける事にはなりませんでした。しかし、逃げ途中の産卵スピードがなんとも早く、これまた今までのウミウシ産卵イメージと違います(勘違いだったのかもしれませんが、ウミウシの産卵ってスローなんだと思ってました)。逃げる焦りで早く産卵しているとも思われません。袋を作るのに生み出すスピードもこの速度なんじゃないでしょうか??逃げていても、お母さんの産卵は止まらないよってな風でした。

 この観察は水温18℃、ボロウエットでほぼ一時間経過する頃のことでした。いつ終了するとも解らぬ産卵の〆まで観察する身体的余裕はありません。寒いときはさ、ウエイト12キロが辛くっても、ちゃんと8mmゴム着て潜水するべきですね。寒さで観察出来ないってのは勿体無いです(といいつつ80分入っていたけどさ)。

……つづく。

 

カラスキセワタガイの産卵 09/05/23 (土)

ベエイはハゼの楽園なのです 

今日は一本だけの潜水…となると、結局私の選択はベエイです。他のポイントからすると一番地味ぃな場所ですが、汚れの無い湾には小さな川が流れ込み、静かにアマモが広がっています。もうすぐホソエガサが貝の上にのっかって、ゆらゆら揺れることでしょう。砂地は所により礫となりますが泥砂ではありません。そして、生物をゆっくり観察するにはもってこいにすよ。浅場がとにかく明るいってのもいいですね。沖縄ブルーとは違いますが、ベエイの青は明るくて大変気持ちがいいです。長門青海島の紫津浦には川が流れ込んでいないので全く同じ環境では無いでしょうが、紫津浦も元々はこの様な海だったのかぁとよく思います。

ウミナメクジの目は すっごくわかりやすい位置にあるわー

ヒップが ハート

 さて、砂地にカラスキセワタガイ柄のハートが一つ。
 フグをはじめ、結構いろんな方々がベエイの砂地では潜って寝ているんで、初めはカラスキセワタガイも砂に潜って寝てんのかなあ?と思ったんですよ。しかし、寝てるにしては目立つ……。ウミウシらしく(貝らしく)潜るならきっちり潜って貰いたいなあ、なんでこんな中途半端なことしてるんやろ?とじろじろ。
 すると、おおお?どうも頭の向こうに繭玉のよーなゼラチン@具入り。

 おおおおおおおおっっっ!これは カラスキセワタガイの産ー卵ー!

 ぬおーぬおーと四方から撮影。そして、Webでカラスキセワタガイの産卵について調べようと小躍りで帰ったんですが、これが無いんですよ。カラスキセワタガイの産卵なんて、確かにどうでもいいっちゃぁいい事ですが、ウミウシの産卵ってどこがどうなってどんな具合にあの様なナルトを作るのか、私は大変興味があった。大体、ウミウシの身体からあれだけの造作を叶える大量の材料が出る事自体信じがたいじゃありませんか。その造作過程を延々と眺めてみたい気もする。なのに、実際眺めても……よくわからん。

 それがこのカラスキセワタガイ。大体進むスピードも速い方だけど、おやまぁ産卵も早い早い蚕なウミウシ。いえ、すみません…蚕見たことないんで言ってるんですが、よく見かける薔薇卵とは全く考え方が違う産みぶり。初め、砂地に潜っている様に見えた身体を取り巻く砂は、どうもオノレから出した粘液袋に砂を絡めたもののようで、それがそのまま卵袋に繋がっている。で、お母さんはお尻は出たまま頭の側面から袋の中に卵を産んでいる。ウミウシを驚かすと体表面から粘液を出すのは知っているけど、カラダ汁はそんな事にも使うんだわー。

……つづくーー