2009/08 Diving log

夏のソラ 3 09/08/15 (土)

実に見たかった そして撮りたかった黒いいソラ

昨年秋 須佐深まてかたで撮影

 体色は真皮にある←これは主婦なら理解できます。理屈は知らなくても体験的に知ってます。まず、魚の鱗を取ります。剥ぎ取った鱗な灰銀色。魚本体が赤くても青くても鱗な色は鱗色の範疇で、魚の色はまだ俎板の上のブツに存在しています。更に主婦は刺身の調理過程で皮をじゃっっと剥ぎ取ります。皮も鈍く半透明の皮色を呈していますが、ここにも本来のカラーは存在していません。皮が剥げ難く皮に身がついた場合はここで意味がありませんからね。皮の離れがいい魚を調理した時を思い浮かべて下さい。剥ぎ取った身の上に、覆いを取られ らめらめと輝く魚のあの色が存在しているのを思い出すと思います。

 そうでしょうが、主婦。主婦は日常的に解剖を行っている。なんて凄いのだ。
 解り易いのは〆鯖ですかね。鯵なんかも皮が剥ぎ易いですよね。〆鯖の皮を剥いでもあの光沢ある青は皮にない。それ故お皿に盛った時あんな具合になる。ここまで来ると調理しないお父さんも、ああ 成る程と思うのではないでしょうかね。

 魚の体色変化について調べていると、これがなかなか難しく巧い事纏められないのですが、神経の支配下で色素細胞が運動するってのは、いつでも観察できる普通種ソラスズメはもってこいだなあと素人ながら関心した今回です。

水色のソラ

 ソラスズメソラスズメと繰り返しましたけど、ソラスズメがどんなか知らない方に念押しすると、通常見られるソラってのは右上にある6匹纏めて撮ったものがそうで、こんな具合に地味な日本海でも目を引く可愛く爽やかな小魚です。

黒のソラの腹 青のドットが見える

産卵床に隠れながら青の状態でいるソラ

で、青を沈めた状態がその左隣のやつね。でも、これでも青を若干残してて、もっと黒い時は<夏のソラ 2 09/08/11 (火)>に出した状態。んで、釣り上げると更に真っ黒になるみたいです。色素細胞が神経の支配を受けて広がっているとか、集合しているとか体表面の色具合と、集合したときのドットで想像というか、素人の納得をしているのですが、黒々している時は<夏のソラ 2 09/08/11 (火)>にあるように、耳石辺りの大きめの青いドットも黒くなるんですね。鰭辺縁には青が残りやすいのか、黒々しててもメタリックブルーで縁取られてて、それはそれでビジュアル的には洒落てるけど、神経支配は先の先にどう行き届いているのか、辺鄙なところは魚の体でも伝達が悪いのか、とかなんとかかんとか青を眺めつつ考え転がすと楽しいです。マニアですかね。マニアだとしても大したマニアじゃないので、この程度の観察ログしか残せませんけどね。

……つづく(かも)。

 

久しぶりのハナイカと いつもいるオハグロベラ 09/08/12 (水)

 自分としてはツボのソラスズメ。動く範囲は四畳半、水深が1mだろうが2mだろうが、それだけで十分ファンダイブの価値があるってもの。ソラは普段から可愛くてダイバーから愛でられているし、生態観察まにあ〜でなくても多分面白いんじゃないのかあ。まあ、半数は或る程度見て、じゃ次っ!と移動しちゃうだろうけど。

提灯 提灯 提灯

 ネタとしてはチョット位の高い(?)ハナイカ。青海島そのものから足が遠のいている上に、船越は更に潜る気になれなかったので、今回観察したハナイカの卵があるトンネルの往復は、濁り濁った海中でいろんな事を自然に思い出して困りました。

 ともあれハナイカです。子供の握りこぶし程度しかない小型のイカなのに、卵は以外な大きさがあります。そしてササゲ豆風の卵を産むヤリイカやアオリイカと違い、一粒一匹の一人っ子。個体数が少ないです。少ないけど、卵塊の近くで親イカは子を守り、アオリイカよりも更に成熟したチビハナイカとして誕生に至るそうな。

 私が写真として撮影した卵塊の前には親ハナイカはいませんでしたが、上の動画にある別の場所で見つけた親ハナイカの奥には卵塊があり、卵を守っているようです。動画では特に変わった動きはなく、ただハナイカがいるねって感じですが、ハナイカがここを離れないのは理由があるんですね。タコが絶食と伴に厚く卵を保育するのは知ってますが、イカってのは繁殖&産卵の時にのみ熱く、後は生みっぱなしで一切保育に関わらないと思っていたんで、へー←です。

 貝殻は遺骸なのよ これが生きてる貝

お子さん

 ▲ ソリキヌツヅミ 

 ▲ ソリキヌツヅミの卵塊 

お子さん2

ヤギを食べている 捕食と産卵 いそがしい

 ▲ ベニキヌツヅミの卵塊 

 ▲ ベニキヌツヅミ 

 体色変化とも卵保育とも無関係ですが、これも親子ってことでUP。

振り返ればこいつが…… 少々びっくり

ガン飛ばして逃げていった気がする

 で、また地味ネタ。

 体婚姻色も体色変化なんだけど、婚姻色ってのはホルモンの影響で起こる変化なんですね。神経の運動ではないんで、繁殖期にはその色姿でいられる。オハグロベラなんて凄く解り易いんで、機会があれば四季を通して撮っておこうと思うんだけど、これがまた意外に俊敏で撮らせてくれません。それが、今回なんでかトンネル入口でミチヨミノウミウシを撮影していると、右の肩辺りに気配……。なんだろうと思うとコイツが じーっといるの。しかも、腹をこっちに向けている。……威嚇?よくわからんけど逃げないんで、珍しいなあ ミノカサゴが犬のよーに付いて来て、必要以上に迫ってくることはあるけど と、思いつつシャッターを押しました。繁殖期の生物は強気なんですかね。

 あの色も柄も好みじゃないけど、何らかの理由でカラダそのものに柄が出たり色が変わったりするってのは、自分に無いこと故そそられます。というか、繁殖期になると深緑と黄色の網目カラダになるのは少々辛いので、赤くなるか青くなるか鳥肌かってな人間カラダで良かったわと思いますー。

……つづく。

 

夏のソラ 2 09/08/11 (火)

 私が冬場に見るソラスズメは鮮やかな青のままです。記憶違いかなと前回の冬にじろじろ再確認しましたがやはり黒でなく青でした。 しかし、ソラスズメの色が遊泳中や岩陰から出入りするとき変化するのは観察出来ており、岩陰から黒いカラダを覗かせたかと思うと、瞬時に青に戻り黒の時間が大変短いものでした。明るい青の印象が強いソラスズメが黒くなっている状態を、もっと惑う事なく黒だ!と確認してみたかった私は、この夏、思わず観察できたことになります。

 黒いソラスズメ、スズメダイ〜のあの煤けた黒色と同じ黒で、地味……地味だけど私には新鮮な黒色。
 自宅に戻り、写真を眺めて面白いなと思ったのは丁度耳石がありそうな位置(ソラスズメの耳石がどこか調べたことはありませんけどね)に、青のドットの変化がとてもわかる所がありますね。

目の横のところに黒い点があるでしょ あれが輝く青になるのよ

 冬場に真っ黒……はそんなことで納得出来てませんが、夏の産卵床で真っ黒のソラ。観察するには十分黒のまま維持してありがたいですが、これも黒から青、そして水色、と様々に変化してますね。体色変化の仕組みについては、調べるとやはりというか 色や光の仕組みはかなーり難しいんで私には説明できません。調べてふむふむ化するのが精一杯です。理解したい方はご自分で調べてふむふむして下さい。

黒っぽいソラ状態

よく知ってる青のソラ

水色になった時のソラ

 私なりに納得した事を織り交ぜ潜水駄文を続けると、花びらのようにうつくしいソラスズメの色は、ソラが色素を持ち青を纏っているのではなく、細胞の運動により青い光を反射させているものなのだそうです。体色変化は細胞の運動、つまり神経によって行われる動きの反射の結果なので、瞬間的に色彩変化してるんですね。

 色変わりといえばイカの色彩変化を思い出しますが、ソラの青や黒がどんな心持ちの顔色(カラダだけど)なのか、動画を観て想像するしかありません。印象では卵のお世話をしているときは黒、外敵など侵入者(侵入物)に気持ちがある時は青……?

 そんなこんなで産卵床にいるソラスズメは、それぞれの事情で黒かったり青かったりしてます。不思議だなあと上を見上げると、中層ソラは大体青ソラでした。産卵床で確かに岩陰色の方が目立ちませんが、中層心境ってなんなんですかね。そして着底心境は?チャガラも着底してるやつって薄黒いんですよねえ。
 おまけでアナハゼに捕食されたソラも、上の動画の最後にチョットだけ撮ってます。捕食されると鳥肌立ったよーな青になるんですねえ。シッポしか見えないけど、もうダメだあ 卵たちさようならの絶望青です。

……つづく。

 

夏のソラ 1 09/08/08 (土)

青を忍ばせた灰色の衣装 保育中のソラスズメ

 草むらのバッタの如く、ソラスズメが岩陰から見え隠れしている。それもダイバーがこぞってエントリーするたった水深2mの場所で。地味な海域でダイバーとなったきっと誰もが、初めに目に付く可愛らしい青い魚ソラスズメ。こんな場所でこんなにたくさん産卵し、卵の保護を行うなんて灯台下暗しというかなんというか。

卵の子供たち 目がびっっっしり!卵は青くも灰色でもありませんねえ

 ソラスズメの産卵床ってのは、転がっているちょっと大きめの石の裏にひっそりと……のイメージでしたが、石の裏だろうが横だろうが、ナナメだろうが上だろうが全てアリ。位置にこだわりはないんですね。隠し具合については、勿論石の真裏など全く伺えない場所に産み付けている場合が多いですが、需要と供給のバランスが悪いのか、そこそこ隠れてれば大丈夫なの?と思う程、奥からびっしり卵が産みつけられてもう陣地いっぱいです!と、随分曝される位置まで産卵床が広がっているものもあります。

 そこでソラスズメはなんとも忙しく子守りをしてます。もっとゆっくりしてても子供は育つよ?と気忙しさが気の毒になる働きぶりです。

 さて、おおお!と思ったのは、産卵床を守る親ソラや既に目が出来ている子ソラだけじゃありません。以前より、冬のソラスズメは黒くなる……とWebで読みながらもそれが確かめられず、うーんうーんと首を傾げていたんですが、なんと産卵床を守っているソラは、青の縁取りを強く残したまま、はっきりと解る黒色(灰色)姿で卵を守ってますね。岩陰から出た瞬間黒いソラは観てますが、あんなに瞬時に青に変わったりもしない。

 未熟な観察眼で申せば(引き腰)、中層ソラは鮮やかな常々知っている青ソラ。それが、産卵床を守っていると目立たぬ黒。それが、同一個体でも、何故か色が変わっている(ように思う)。どんな事情があっての事なんでしょうかね。体色変化については、真冬の黒チャガラを思い出しますが、これらはなんなんでしょう。

 これは△状に石が重なった場所で産卵しているソラスズメ。岩の周囲全てにびっしり卵があります。そして親ソラは青い縁取りの黒(灰)ソラスズメとなり、甲斐甲斐しく保育してました。ご覧下さい。

……つづく。