2009/09 Diving log ニホンアワサンゴ編

命を新しくつくり繋ぐふしぎ 09/09/13 (日)

 揺れるアワサンゴのポリプが引っ込むと底にある、骨格らしき存在が現れる……。ダイバーは生物を触ってはいけませんのルールがあるので補足しておきます。どうやらアワサンゴのポリプは突かなくても容易に引っ込みます。掌でぱふぱふと軽く仰ぐだけで、蝸牛の目玉が引っ込むよーにするると縮みます。あえてぱふぱふしなくても、水流を受けて縮むのではないでしょうか。何もしなくても、又夜でなくても、様子を伺うように岩の上で小さく縮んだ状態でいたりもします。想像ではありますが、数人のダイバー群がフィンを揺らして通過した水路で、地味な普通種アワサンゴは身を竦め 煽られた砂を被りながら辺りが静かになるのをじーっと待っているかなと思います。勿論常に汐で揺れる環境故、ダイバーのキック刺激のみが収縮をさせているとは思いませんし、水路で撮影したポリプが縮んだアワサンゴも、私が苛めた結果の姿ではありません。

アワサンゴ 収納口

アワサンゴ 収納済み

 日中 何故か引っ込んでいたもの 青海島にて撮影 

 ▲富戸の波管理人 撮影 
http://www.onsenmaru.com/

 さて、そのアワサンゴのポリプが縮んだ骨格。縮んでも勿論生きているので、沖縄の浜に転がっているサンゴの骨姿とは違います。ウエットティッシュの引き出し口状の所に、ポリプが巧い事収納されているのを見ると、骨と身体はどんな塩梅になっているのかと首を傾げてしまいます。

アワサンゴ 亡骸

 ▲富戸の波http://www.onsenmaru.com/ 管理人 撮影 ニホンアワサンゴの骨格

 そこで、伊豆で潜られている富戸の波管理人さんから アワサンゴの骨格だけの写真を頂きまして、おおおおお…!身体の芯として存在しているイメージの<骨>とは随分仕様が違うので、この写真を見て身と骨のカンケイを納得することは出来ませんが、なんだかしみじみ奇妙に感心。掲載許可を頂きましたのでご紹介しときます。骨は網状の鞘となり、ポリプひとつひとつを保護する創りになっとります。

 この写真を頂いて、じゃあ青海島の水路にも、これがあるのだろうかと探しましたが、全体的にどんよりと沈殿物を覆った なにかわからぬたくさん達の中、ウオーリー探しは時間切れ。この様な骨格は見付かりませんでした。

生物はどうして命を新しく作り繋ぐという仕組みなのか

 ▲富戸の波http://www.onsenmaru.com/管理人撮影 プラヌラ幼生を抱えるエダアザミ 

 探せないものが多いのに、収穫を得たような夏の終りのダイビング。調べるとアワサンゴがプラヌラ幼生を放出するのは9月頃のようで、まだ望みは残っています。てか、プラヌラ幼生を確認出来てないんで、放出も何も無いんですが季節の時計はまだ望みの帯にあるってことで。はい。
 で、プラヌラ幼生が確認出来ない上に、プラヌラ幼生ってな舌を噛みそうなもんを実際に見たことが無いんで 一層頼りない有様ですが、プラヌラ幼生まで保育してから放出する種に、アワサンゴ以外にも
ウミトサカの仲間のエダアザミがありますよと、幼生を抱えたエダアザミの写真も送って頂きました。半透明の身体に子持ち昆布の粒のよーなプラヌラさんが並んでます並んでます。お子さんたちです。お子さんだけど やっぱりお子さんなのか卵さんなのかさっぱりわかんないです。そして、これが正に私が探している生物の命を繋ぐ姿。

 秋の海のいつ時か、この生物のプログラムが放出されるんだわ。
 私が潜る海のどこかにも、この不思議たちは暮らしているのでしょうか。

 

さんごのなかま 09/09/11 (金)

トンネルの中をじっくりライトを点け仰いでみると ……きもい

airが鉱物のようだ

 この時期アワサンゴの身体にポリプが育ち大潮の声と伴に海に放たれる……の絵が私の頭にあったのですがスカでした。しかし、私の未熟さ故の結果だけで遠く離れてはいない筈です。大体サンゴもイソギンチャクもクラゲも、その区別がよく解ってないのでこんなもんです。サンゴ等の区別が解っていると思う方は調べ進んでみてください。素人は解らなくなります。そんな者が、ポリプとかプラヌラとか ダイビングの世界に足を踏み入れなければ、恐らく一生知らないものを探せなくてもおかしくないってもんです。

 と、開き直るのも素人の強みで、これは趣味なんだからねと言い切りながら、その後もしつこく続きます。
 そしてエダアザミというもの。これはもっとポリプが解り易いように思えるので、是非とも我が目に映したいと思うのですが、エダアザミそのものを見たことも聞いたこともなく、その生物の居場所すらわかりません。
 我が海にもそれは生きているものなのでしょうか。

縮んでますッ 縮んでますッッ

 山口の海に、一見柔かい身体のサンゴの仲間は結構います。子供の頃に思っていたサンゴとは違うものなので、それがサンゴとは知らずにいる方も多いのではないかと思います。更に、その不思議なぶにょぶにょ達は膨らんだり縮んだり、やっぱりサンゴとは思えない収縮(?)をしてみせるので、私なんかは アンタ等爪先立って珊瑚なんて見得張ってるけどホントはイソギンチャクやろ?と思ってしまうのですよ。
 どっちでもいいんだけど、エダアザミが縮んだ写真をWebで見ていると、薄暗い砂地にぬうと伸びているウミイチゴが、砂地の中でどんな具合に納まっているのか本気で見てみたい気持ちにがムクムクしてきて困ります。そうそう、ウミイチゴは時々昇天して砂地に根っこ(?)から抜けて転がってますよね。あの腑抜けさは心からガッカリの図 且、命の儚さをしみじみと感じますねえ。祭りの数日後の風船を眺めるよーです。はい。

 

生物のカラダが生まれるとき 09/09/10 (木)

子なし?サンゴ

 ニホンアワサンゴ以外にも、体内で幼生を保育し産みだす種はあるそうで、教えて頂いた<エダアザミ>などは、送って頂いた写真を拝見するとアワサンゴよりも一層はっきりとしたプラヌラを抱えているように見えます。そして、私の目の前に揺れるアワサンゴにはプラヌラ幼生が全くいない…。

 サンゴもイソギンチャクも、そしてクラゲも、じゃあ一体それが何か が、解ってない私はプラヌラに逢うことは叶えられないのでしょうか。

移動中の楽しみ 芸術的な同行の方のAir

 随分前ですが、鹿児島の水族館でクラゲの子が展示されてるのを観ました。これも繁殖としては想像を逸脱するもので衝撃だったのを覚えています。クラゲというよりイソギンチャクというか、客観的に植物的な身体はやがて花びらのようにひとつひとつに離れ、驚いたことにその花弁一枚が一匹のクラゲとなるのです。あああ こんなことになっていたのか!私は丁度いいタイミングの展示物を拝見したのでしょうが、おおおお クラゲええ!と、クラゲ水槽の前で10センチ飛びました。本当に驚きでした。

 青海島に潜っていた頃、そして今も決まった場所にアワサンゴが生きている。絶対に繁殖をしていると思う。故に絶対 あの場所でアワサンゴは子供を放出している。私の知らぬ姿、知らぬ時、日本海にサンゴは放たれている。その君(幼生)はどこ……。

 生物は命そものもがいきてゆくから生物なんだと反芻しつつ、しかし やはり一人の人間として思いもよらず、まだ見ぬスタイルは胸を焦がします。私はずっとこの繰り返しだわ。

 

保育するサンゴ 09/09/09 (水)

 99%のダイバーが間違いなく盛り上がらない、ニホンアワサンゴのネタの続編は、99%のダイバーが盛り上がるサンゴの産卵について。で、ニホンアワサンゴの場合です。

 自分の地域にサンゴと名のつく生物がいることに驚いた私を、更に おおお!と思わせたのは、この温帯サンゴが冷たい海で繁殖する手立てに産卵でなく、身体の中で保育して生み出す種であるということでした。これは御存知の方には既に当たり前のネタでしょうし、知らない方には、へーっ…てな ただ白けるマニアなネタ……かもしれません(多分そう)。
 私としては、サンゴが存在する上に、サンゴが出産している。なんて凄いんだ エライじゃないか日本海!ってなノリでした。
 
 生み出されるサンゴのお子さんの名前をプラヌラ幼生というそうです。これを初めて知ったのは、図書館にある児童書だったのですが、調べるにはやはりWebが便利なんで、自分なりにうろうろとネットを探し、ニホンアワサンゴのプラヌラ幼生写真を見つけました。結構はっきり撮影している写真もWebにはあります。お探し下さい。
 体内にあるプラヌラ幼生は、伸びたポリプの首(筒?)状のところに、ラムネ菓子のよーに粒が透け並んでいるんですね。お子さんと言っても、写真で拝見する限り 卵と寸分変わらぬ姿でただ丸く、可愛くともなんともない上に、産み出される時も所謂サンゴの産卵とどこがどう違うのやらさっぱり解りません。これは生物の状態として卵でも受精卵でもなく、<幼生の状態>だってことなんでしょうね。

向こうのポリプが透けて見えるけど 幼生はいない

 
 夏にアワサンゴの身体にプラヌラ幼生が確認出来ること。そして、9月の日中産み出されるということ。私はそれを読んで、夏は間違いなくプラヌラ幼生を体内(ポリプの伸びたとこ)にプラヌラ幼生を溜めているだろうと確信して潜りました。

プラヌラ幼生って本当にいるの?

 で、結果はご覧の通りスカ。
 なんでですかね。

 伸びたポリプは向こうが透けるほどよく見えるんですが、お子さんたちはおりません。肉眼で見えなくても撮影して自宅のPCに広げたらあるんじゃないのかとも思いましたが、幼生なんていません。でも、ニホンアワサンゴは青海島のトンネル出口の水路に数個体ちゃんと暮らしているのです。

 幼生はあの身体のどこにあるのでしょう。

 ……つづく。というか、このダラダラLogを整理したいこの頃。今日は何を見ました〜な日記は自分に要らんよーな気がします。