2010 2 Diving log

チャガラのライン 3 10/02/26 (金)

 高尚な論文ニュースへリンクを張った後の雑文は書きにくいですね。これは極個人の素人であるわたくしのサイトであることを改めて念押しし後を続けます。

 印象を語るまでですが、ピントが合わない写真を掻き集め考えるに、山口山陰側(日本海側)で暮らすチャガラのラインは全くの5本とは言いがたく、6本目が”曖昧”な状態で伺えると感じます。

 こんなことは捕獲して茶殻の如くゴザに撒き並べたら簡単なハナシなんですが、Webで見る限り太平洋側で撮影されたチャガラのように、6本目がくっきり描かれてはいないってのは事実だなあと(論文等にこれだけ取り上げられている事だから当然なんだけど)自分で確認して小さななヨロコビを感じている次第。

 
 無い、ないんだけどある。あるんだけど無い、この曖昧さに日本海誕生の姿が見え隠れしてるんだと思うとね、なんというか地面が動いてるんだわ 海の中にも広がる地面があるんだわ、その上にいきものが命を繰り返したのだわなんてね、ええ 感動しますねわたくしは。

 エライ方々のご研究を自分の目で垣間見るのも海に潜るようになった醍醐味なのかな。素人には”研究”や"論文”と名の付くようなことに踏み込めません。伺ったことにほうほうと感心するばかりです。しかし、元々地面好きなもんで、チャガラを通じて地面の動きを見るってのはなんとも胸に響きます。

 チャガラのラインが曖昧な5本ってのは身近な人間に例えると、山口から九州に行くと 南下するにしたがって人々の面にも南国を感じるのに似てますね。線引きはできないけど違うんですよねえ。そして沖縄に行くとまた違う。でも、山口にずっといるって人も、山口より東から移ってきたよって人も目を疑うほど南国チックな顔立ちの方もいるし、当然ながら区別は出来ないのです。これはもっとひいて大きく捉えて観察してみたらグランデーションとなりつつ人のつくりが地域と伴に変化しているんだろうなんて想像します。

 グレートジャーニーって言葉を知ったとき、うわーって感動したけど、人間の生活と命の繰り返しが、呆れるほどながーい年月を経て、プレート等と伴にこんな具合になってるんだって思った時と同じ思いを、このチャガラのラインから感じます。

 

チャガラのライン 2 10/02/17 (水)

 チャガラの体のラインについて、まずご参照して頂きたいのが<日本周辺の沿岸にごく普通に生息する2種のハゼのDNAによる系統関係が形態的な特徴による分類と著しく異なる例を発見>宮内庁

 水戸黄門の印籠と同時にチャガラの秘密を見たようで おおお…と数歩下がってしまいそうなキモチですが、チャガラとキヌバリの系統および比較形態ということで、日本海の成立や海流 云々まで話は深く広がるようです。しかし、天皇の御論文となると凡人のわたくし、ここで「あの、私 心からチャガラさんが好きなんですけど、私もじろじろ眺めて思いを馳せていてもいいですか?」と上目遣いになりそうです。

 ともあれ、同じ面なのに日本海のチャガラと太平洋のチャガラは出来上がりが違うそうです。一見して違うのはキヌバリの様に体のラインの数の差だそうで、日本海チャガラのライン数は太平洋より一本少なく5本、或いは5.5本とのこと。しかし、私は地元チャガラやキヌバリとしか遊んだことがありません。

 今まで撮影したものは尾に近いラインまで鮮明に撮れている写真が少なく、今回6本目にあたる部分を撮ろうと、少々意地になりました。(鮮明に撮れてないと6本目があっても5本に見えるように思います)。こうして カメラはヒレと同時に6本目にも焦点を合わせろと凍てつく海底で振り回されたのですが、収穫は少なく溜息が出ます。が、まあいちおう撮ったので眺めてみると、うーん……6本あるよ?あるけど薄い。短かったりもするなあ。この頼りない6本目こそが5.5日本海チャガラの特徴なのかなあ。
 太平洋チャガラの6本目をWebで拝見すると、確かに日本海のものより堂々と描かれているように見えます。

 どのみち、地域差は他所の地域に行かねば違いは解らないものです。富戸の波さんの記録にあるように、”私の観察と違うようだ”とある辺り、”別種であることが関係しているのでは”とありますが、それについては日本海チャガラを多くの目で観察した結果ではなく、私個人の感想の範疇で 観察が拙い為のものだと思います。正直なところ私が感じる事は、背鰭同様 ラインは個体差(まるで指紋)があることと、別地域と比べもせず印象で申せば、人間の目から見れば別種といわれても同じ面…であり、行動の差については、双方環境も含めて相当比較しないとわからない、ましてや私の目にそれが解るかは星に手を伸ばすよう…です。

 ただ、思い出せば同じ面で同じ名前でも、地域によって<なんか違うなあ>な生物は他にもいて、そんなのってチャガラやキヌバリと同じような理屈で遺伝子が違っているのかなぁ なーんてふと思ったり。ほら、ネジリンボウと鹿児島のサクランボウとかさあ。なんだかそんなのってありますよねえ?(見当違い?)

……つづく。

 

チャガラのライン 10/02/07 (日)

 そして体のラインの数。富戸の波さん記録にあるように、チャガラのライン数には地域差があるとのこと。これは日本海(山口県エリア)だけで潜っていてはわからないことです。地域でラインの数が5本だったり6本だったりするというのも面白い話で、その理屈を辿ると日本海のなりたちにまで繋がり、チャガラという名を持った小魚の話が大河ドラマよりも遙かにスケールのでかい話になってゆきます。

 チャガラの体のラインの数と質。これは肉眼での観察でも数えられるのですが、曖昧な記憶ではサンプルにならず、また素人ダイバーは捕獲も出来ないので、ただもう気合を入れてピントの合った写真を数々撮らなければなりません。それが案外少ないんですよね……記録として有効だろうと思える鮮明なチャガラの写真。

 5本チャガラか6本チャガラかの決め手も 尾部手前にある最後の一本なので、ウスラ写真じゃ話にならないのです。例年ウスラ写真を凍てつく海底で撮っては曖昧な記憶と曖昧な写真を継接ぎしておりました。チャガラに到っては<インテリアとなる美しい海中写真>などどうでもいいやぁと思ってる気持ちが、<ウロコの模様の質感までも写せる海中写真>を撮る人が羨ましくなります。

 さて、上の交差中の二匹のチャガラ。日本海のチャガラの体のラインは5本が多い……しかし、これは薄っすらですがきちんと長く6本目が見取れます(なんとかピントが合った)。
 日本海(山口エリア)のチャガラはどんな具合に5本ラインなのでしょうか。

……つづく。