花見というのはいいものです。花で一番すきなものと言えば一番が決め難いですが、一番をいくつ並べてもいいなら、まずひとつは桜。ひととしても節目の時期に枝いっぱい咲き誇る桜は見上げるひとの気持ちにもその時の特別があります。
アマモも私にとっては特別です。海に潜らなかったらこの花を知ることもなかった。海中に草はらがあり、花をひらく。今年はその花を見ることができた。特別な気持ちで白い爪のような花をみる。うれしいなあ。
写真では、アマモ場はあたかも新緑の生き生きした草はらに見えますが、実はそうでもなく、アマモ葉はあちこち何かに齧られ、至るところに藻やら貝の卵が産みつけられ、もうちょっとすっきり元気でもいいような気もします。が、その生息範囲は結構広く、同時にウミヒルモも群生している。
アマモもウミヒルモも齧られ、一見弱ってみえたり、なんだかんだ産みつけられ汚れて見えても、その根はきちんと地面を掴んで健やかに生きているのだろう。他の生物を寄せ付けない状態で生き生き茂っている……ってほうが、実は不健康なのかもしれない。
とかなんとかぼんやり考えながら、まだ咲き始めのアマモ場をウロウロ泳ぐ。アマモ場は直ぐに方向がわからなくなる。つまりここのアマモ場はそのくらいの広さがある。 |